【緊急】ケアラーのための災害対策

 

2024年1月1日に発生した能登半島地震により、お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますと共に、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、被災者の救済と被災地の復興支援のためにご尽力されている方々に深く敬意を表します。

 

障害のある方の被災状況や、障害のある方のための災害対策ハンドブックなどが紹介されています。障害のある方のケアをしてるご家族(以下「ケアラー」という)の皆様も、ご自身が被災しているだけでなく要配慮者や要支援者へのケアに奔走されていらっしゃいます。ここでは、障害のある方のケアをしているご家族(以下「ケアラー」)の声を集めながら、ケアラー目線で必要な情報をまとめました。

ケアラーのための心のケア

防災ハンドブックには、障害者、高齢者、幼い子ども、支援者の心のケアについて記載されています。しかし、それだけではなく、障害や病気のある家族の援助(ケアや手助け、見守りを含む)をしているケアラーにも心のケアが必要です。災害時は、避難初日から数日あるいは数週間は、自分の心に関心を寄せる余裕はありません。状況が少し落ち着いてきたら心のケアやセルフケアについて一緒に考えてみましょう。

きょうだい児&ヤングケアラーの声

わたしたちは、毎月オンラインで集まって意見交換をしたり、テーマトークをしています。そこで高校生や大学生で家族のケアをしている人たちから、被災したときの心配事や不安、避難所で落ち着いたらこんなサービスがあったらいいな、という声を聴きました。ここに紹介します。

被災したときの心配事や不安

・家族とどうやって連絡を取れるのか不安

・車椅子を使っているとすぐに逃げ出せないから心配

・とっさの行動ができないかもしれない

・医療的ケアが必要な家族が胃ろうをしているので、胃ろうグッズだけでも大量の荷物になる。

・どうやってその大量の荷物をどのくらい準備すればいいんだろう

・糖尿病のある家族がいるのでインシュリンをどのくらい備蓄できるのかなと思った

・2日に一度の透析が必要な家族がいるのだが、それが3日に一度に減ったからすごく不安だった

避難所には行けないと思うから、車中泊になるかもしれない

・エコノミー症候群になることが心配

 

対策を考えてみよう

・自分が住んでいる地区以外の病院(透析や糖尿病などを扱っている病院)を探しておこうと思った

・福祉避難所のことを初めて知った。自分の近所にもあるのか調べてみようと思った

・福祉避難所は小学校だけだと思っていたけれど作業所や施設も福祉避難所になることを知った

・家族と福祉避難所について調べておこうと思った

・避難訓練をしなくちゃいけないと思うけれど、地域で障害者を受け入れてくれるのか心配

 

避難所で落ち着いたらあったらいいなと思うこと

・避難所でも明るく過ごしたいので、動きたい、ダンスや体操など一緒にやってくれる人が必要

・シャボン玉やピエロに来てもらうなど楽しい時間を過ごしたい

・相談できる場所、つながりが持てるサービスがあるといいな

・電気が通っていればゲームができるからゲームをしたい

・XやSNSでつぶやきたい

・避難所で始めて会った人と話すことはあるけれど、以前から自分のことを知っていて家庭環境を分かっている人と話したい

・学校でもなかなか家族のことは話せないから避難所ではもっと話せないと思う。だから知り合いと繋がりたい

・障害や疾患のある家族のことがどうしても優先になるけれど、自分のことも考えていいんだと初めて分かった

 

話し合ってみた感想

・学校では災害対策について話し合ったり意見交換をしているけれど、ケアラーとしての立場で考えたのは初めてだった

・もっと情報を知りたいと思った

・何から調べたらいいのか分からなかったけれど、ここで話し合えたことで調べるきっかけを得ることができた

・自分たちが住む地域になる福祉避難所のことをもっと詳しく知りたい


おとなケアラーの声

家族のケアをしている人たち(20代~60代)が集まる交流会を開催しました。そこで、被災したときの不安や避難所での体験談などを聴き、それらの声を集めたので、ご紹介します。

ケアラーの心のケアについて
・主語が「ケアラー(ケアをする人)」にあることが無かったのでなかなか考えられなかった
・ケアラーとして何が必要なのか考えてこなかった
・ケアラーはどうケアしてもらえるのかな
・(ケアラーの心のケアは)頭の片隅にもない
・実際に被災した時に自分は家族の中で主体として動いたので落ち着いた後に無気力になってしまった。
・落ち込んだ時にすぐに連絡ができる場所がほしい
・自分が被災しても(家族の世話でそれどころじゃないから)「被災したという感覚」に至らない
・家族が自宅に残り、あなたはひとりで逃げなさいと言われたらいやだなと思う
家族の安否情報
・家族の安否情報を真っ先に知りたい
・作業所ごとに、何が出来て何が出来ないのかを家族と共有してほしい
被災後の情報収集
・情報は自分で取りに行かなければいけない
・自分で個々に検索するよりも一目でわかるような情報源がほしい
外国人向けにわかりやすい言葉で示すなど配慮されるようになった
 障害者への配慮も、もっと増えてほしい
・そもそも、どの媒体でどんな情報を得ればいいのだろう
・どうやって支援物資を得られるのだろう(どこに連絡するの?)
その他
・地震や水害だけじゃなくて、大陸間弾道ミサイルも災害であることを知った
・支援物資の中身を知っておきたい
・準備している備蓄が足りるのか心配

ストレス反応とは

家族を支えていると、普段以上に気負ったり無理を重ねてしまうことがあります。

家族を支えることに対してストレス反応が起こるのは当然のことで、決してあなたが悪いわけではありません。

 

〇 家族を援助しているあなたもまた被災者です

 

〇 あなたが全てのことををやらなくちゃって思っていませんか

 

〇 あなたにもできないことがあって当然です

 

〇 家族にイライラ💢することもあります

 

〇 あなた自身を守る人が必要です

 

〇 自分は大丈夫、そう思っていると少しずつ抱えていくストレスに気付かなくなります

 

参考: 内閣府「被災者のこころのケア」https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kokoro.pdf


ストレス度セルフチェック

あなたのストレス度合いをチェックしてみましょう

     

□ 物事に集中できない

□ 優先順位を付けられない

□ すぐに腹が立ってしまう

□ 状況判断ができない

□ 意思決定にミスが生じる

□ 頭が痛い

□ 落ち込んでしまう

□ 物忘れが多くなった

□ よく眠れない

□ 常に不安がある

□ 肩が痛い(重い、ジンジンする)

□ 寒い、冷えている

□ 熱い、のぼせている

 

どれか一つでも当てはまるものはありましたか?

 

被災していると家屋や家族関係の再建に時間がかかるので「休む時間なんてない!」と思いますが、できるだけほっとする時間を持つようにしましょう。


For English Speakers

It is very unsettling to encounter a disaster when you cannot communicate in your native language.


Differences in lifestyle habits may also cause problems at evacuation centers, temporary housing, and so forth.


Keeping this situation in mind, those who cannot read or speak Japanese are required to take the following actions.

 

①Use easy-to-understand Japanese as much as possible and prepare ruby-filled flyers and pamphlets.

 

② Create an environment where information is as easy to obtain as possible by communicating the status of radio broadcasts in foreign languages and the patrols of volunteers who can speak English or your native language.

 

③ Be sure to inform people as soon as possible about the basic rules of life at evacuation centers and temporary housing (such as taking out the trash and using shared telephones).

 


①深呼吸をしよう
心を落ち着かせる<深呼吸>の手順をご紹介します。
1.静かに目を閉じます
2.ゆっくりと息を吐いてください
3.ゆっくりと鼻から息を吸い込みましょう
4.胸に手を当てて静かに呼吸を整えます
5.ドキドキしていたら深呼吸を繰り返しましょう
6.心拍の速さが落ち着くまで深呼吸をしましょう

■腹式呼吸のやり方(引用:日本医師会)

https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02_pop.html

■家の中に居る時
・家族と一緒に深呼吸をしてみましょう
■避難所の中に居る時
・手荷物などの目配りをする人を置きましょう
・音が気になりますが深い呼吸だけに集中しましょう
■車中にいる時

・換気に気を付けてください


②自分を褒める7アクション

普段から、私たちは自分を褒めることをあまりしていませんよね。障害や病気のある家族のケアが常に優先される暮らしの中で、災害が生じると更に家族のケアが最優先になり、自分のことは二の次、三の次になりがちです。

①毎晩、眠る前に「自分は今日一日、よくがんばった」と自分を褒めましょう。

②朝、起床時にゆっくりと深呼吸をしてプラスのエネルギーを取り入れましょう

③重たい荷物を運んだり、家族を移動させたりして身体を使ったときにも、「自分はよく頑張っている」「よくやった」と自分を褒めましょう

④どんな小さな当たり前のことでも、それをやれたら自分に「できたね」って言ってあげましょう

⑤何もできなくても、やれなくても、今日一日を過ごしている自分で大丈夫です

⑥弱音を吐いたり、気持ちが折れそうになる自分がいてもいいのです

⑦そう思ってもいいんだよって自分に言えたらいいね

ケアラーのための災害対策情報

■ご家族(ケアラー)の方へ

■自閉症のある人とその家族のための防災ハンドブック

https://www.city.okayama.jp/kurashi/cmsfiles/contents/0000004/4572/000340578.pdf

引用:日本自閉症協会

家族のための心のケア情報が掲載されています。


■障害や疾患のある方へ

■災害時障害者のためのサイト

https://www.nhk.or.jp/heart-net/saigai/index.html

引用:NHKハートネットTV

 

■#障害者を消さない

https://emergency.heralbony.jp

引用:株式会社ヘラルボニー


■支援者の方へ

■大府市災害用コミュニケーションボード

画像をクリックするとサイトにジャンプします。

https://www.city.obu.aichi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/024/297/saigaikomibodo.pdf?fbclid=IwAR2lzDHM_aCFhqbW2dON4Kr5CrweU4LNQzXKJ-SSLnpas0NYMqa525e0Fjw

引用:大府市福祉部高齢障がい支援課(2022年9月)



避難について

障害の重い家族や高齢者の方と一緒に暮らしているご家族は、避難所に行けない、動けないことが多いので諦めてしまいたくなりがちです。しかし、命は大切です。お願いです、決して諦めずに行動しましょう

 

■津波が来たら

津波は5分後に30㎝~2m近く、20分後には3.6mもの津波が沿岸部に押し寄せます。津波警戒情報が流れたら

何も持たずにすぐに高台へ避難

諦めない気持ちを持ちましょう

 

近所の人の助けを借りよう

・周りの人に要支援者がいることを日頃から伝えておきましょう

・自分に障害を他者に知られたくない場合には、避難行動要支援者名簿に登録しよう

 

避難行動要支援者名簿に登録しよう

・避難行動要支援者名簿に登録していますか?災害対策基本法に基づき、災害時に自力で避難することが難しく支援を必要とする避難行動要支援者の方々をあらかじめ市区町村で登録しておく名簿があります。<お住まいの市区町村名 避難行動要支援者名簿>で検索して事前に登録しておきましょう。これは自ら市区町村に赴いて登録する必要があります。

 

避難の判断をするには

・日頃から家族で避難の判断基準を決めておこう

・LINEやYahooなどで安否報告をしましょう

 

■ハザードマップを確認していますか?

・お住まいの地域の避難所のルートを確認しておこう

福祉避難所を調べておきましょう

※福祉避難所とは、高齢者や障害者など一般の避難所生活では支障をきたす要配慮者に対して、特別の配慮がなされた避難所のことです。対象者は高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者等避難 所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者とし、その家族まで 含めます。福祉避難所の開設期間 災害救助法では、福祉避難所の開設期間は、災害発生から7日以内とされています。 ただし、災害の状況等により開設期間の延長が必要な場合には、市災害対策本部と福祉避 難所指定施設と協議し、延長する場合があります。

 

◾️石川県障害者施設の現状

石川県では福祉避難所は2箇所設けていたが、断水や電気が通らないなどの理由で障害者の受け入れができないためそのまま障害者施設に留まってもらっている。知的障害のある方など115名が入所している施設では、水や食料不足で衛生面も懸念されている。この施設を終の住処としてほしいと望む家族は、施設に頼っているところもある。石川県では2次避難所を設置する準備を進めているが、できるだけ障害者支援施設に留まってもらいたいと言っている。(2024/1/8 22:30 報道ステーション取材)



あなたの声もお聴かせください。必要な情報を調べて掲載します。

声の届け先:support@careraction.com
※情報は随時アップデートします



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きょうだいの集い ダイジェストPhoto

2015年1月~2020年2月